いつものアレと話しながら駅まで行って、ちょっとした事で改札近くでで足止めをくらい(彼がカードを使って定期を購入しようとしたら、エラーがでて購入できなかった)、
「時間かかりそうだから気にしないで先に帰って。」と言われて、「わかったよー」って帰りました。
でもなんかこう、犬を追い払うようなジェスチャーでやられたので、「んもう失礼なやつだな…」と内心思ったのです が…
よく考えたら私こいつにきちんと別れを告げた思い出がない…
数日後に二人で飲みに行く機会があり、
『ちょっと確認したいんだけど、私いつもあなたと別れるときにどんな感じで別れてる?』
「あ…自覚はあるんですね、一切挨拶無しです。なんか目の前でフッと違う人間になるように存在を無視されます。正直びっくりするわ」
『ご…ごめん…昔人にも注意されたんだけどあんま直ってなかった…』
理由は単に「寂しがりで別れを惜しむ行為が嫌い」「次やることを考え始めるとそれまでの事は忘れてしまう」ってだけなんですけどね…
帰りに駅の中を歩いていて、
「何線ですか?」
『えーと、地下鉄だから○○線でいいと思う』
「じゃあ、あそこの分かれ道で、お別れしましょう」
30mくらい先の分岐で、特に足を止めることもなく、ごく自然な感じで、じゃあまた、と軽く手を挙げて私たちは別れました。ああ、目印があれば、きっかけがうまくつかめるのか。
コレコレは苦手…というとサクっと私の負担にならない代案をだして、うまく私をそちら側に誘導してくれる。これが高学歴体育会系の…真価だというのか…!
これまで同じように振り返りもしないで別れて、そもまま二度と会えなくなった人が何人もいて、「最後にもっと話しておけば何かが変わっていたかもしれない」と後悔を重ねながら、私は中年になりました。
自分自身では変えることができなかったことを、小さな工夫で変えてくれた。そうやって現実的で、着実な方法で、この人は世界を変えていくことができる。すげーな。
秋が深まるにつれて、別れが近づいていることをお互いに知っていました。
(思わせぶりに続く)